概要

弊社メンバーが最新のLinuxカーネルにおいて、非特権ユーザからroot権限を取得可能な権限昇格(Local Privilege Escalation)の0-day脆弱性を発見しました。

実機のCentOS Stream 9における権限昇格の様子
実機のCentOS Stream 9における権限昇格の様子

発見した脆弱性

本エクスプロイトは2件のLinuxカーネルバグを組み合わせたエクスプロイトチェーンであり、非特権ユーザからroot権限を取得できる構造となっています。動作実証は実機のCentOS Stream 9に対し、デフォルトインストールのままの状態で行いましたが、本脆弱性はCentOS固有の問題ではなくLinuxカーネルそのものに存在するため、他の主要なディストリビューションにも同様に影響が及びます。

責任ある情報開示プロセスに従い、ベンダーによる修正のリリースとCVEの採番までは、対象コンポーネントの詳細やPoC等の技術詳細は伏せます。修正の反映後、別途技術詳細をまとめたwriteupを公開予定です。

AIと人間によるハイブリッドな調査

本件の脆弱性発見からエクスプロイトチェーンの構築までは、LLMを活用した広範な探索と、メンバーによる人手の解析・実装を組み合わせたハイブリッドなアプローチで進めました。LLMが網羅的な候補探索とパターン抽出を担い、カーネル内部のセマンティクスを踏まえた検証やエクスプロイト本体の精緻化はメンバーが担当する分担構成です。

カーネルの権限昇格は単一のバグでは成立しにくく、複数の原始的なプリミティブを組み合わせて初めて成立するケースが多いため、機械的な広域探索と人間の構造的理解の双方が不可欠です。本件のように2件のバグをチェーンさせる構成は、AIと人間がそれぞれの強みを補完し合う体制を整えていることで初めて到達できるものと考えています。

継続的な脆弱性調査

弊社では独自のアプローチによりLLMを活用した脆弱性調査を進めており、Linuxカーネルを含む主要ソフトウェアに対する0-day調査を継続していきます。実践的な脆弱性発見の知見を活かしたAI×セキュリティ診断・コンサルティングを提供しています。ご関心のある方はお問い合わせください。